今回は、我が子の成績が良くなかった時のイライラの抑え方を精神科医として解説したいと思います。
我が子の成績が良くない時、特に受験生のお子さんを抱えている親御さんは、イライラや不安を感じるものです。
もう受験まで7ヶ月もないっていうのに、最近のテストでうちの子は過去最低点だったのよ…
私も2023年中学受験生の子供がいるのでお気持ちはよくわかります
不安とイライラからカッとなってしまい怒っちゃったわ
そのお気持ちもよくわかります。
ただ、怒る前にどのように怒りをコントロールしたらいいのか、精神科医としてアドバイスさせてもらいます。
どんなお子さんでも時に成績が落ちることはよくあることです。
お子さんが悪い成績を反省するわけでなく『あっけらかん』としていると、親としては不安や焦りを感じ怒ってしまうことがあると思います。
(成績悪くても)どうでもいいし、ゲームしよっと
そんなことで合格できるとおもってるの!!!!(怒)
お子さんが「あっけらかん」として気にしてないようなメンタルならば、怒っても深刻な雰囲気にはならないからまだマシかもしれません。
問題は、お子さんも深刻に落ち込んでしまうパターンだと思います。
深刻に落ち込んでいる子をさらに追い込むように怒ってしまうと取り返しのつかない事態になりかねません。
あぁ、どうしよう…すごく悪かった。もう勉強なんてやりたくない…
めそめそとそんなことばっかり言っても仕方ないじゃない!(怒) いくらかかってるとおもってるの!!!
受験、特に中学受験を志していると、このような場面が大なり小なり起こってしまうと思います。
お子さんが落ち込んでいるところに、親御さんが追い打ちをかけるように怒りをぶちまけると、さらにやる気を失ってしまう悪循環に落ちいります。
そもそも、お子さんとしては、「やらされている」という意識が根底に存在します。
価値観の押し付けは、より反感を買ってうまくいなくなる可能性もありますし、さらなるプレッシャーとなり押し潰してしまう可能性もあります。
ですから、親御さんとしては怒りを制御する術を身につけておく必要があります。
どうしても怒ってしまった場合も含めて、解説したいと思います。
✔︎ 中学受験を考えている親御さん
✔︎ お子さんの成績が悪いと怒ってしまいがちな親御さん
✔︎ 中学受験は考えていないが、お子さんの成績が悪い時に怒ってしまう親御さん
✔︎ 中学受験に興味がある親御さん
私自身、まさに中学受験を7ヶ月後に控える子供の父で、成績が悪い時に起こりたくなってしまいがちな一人です。
どのように怒りをコントロールすべきか早速解説していきます。
昔の自分を思い出す
単純なことかもしれませんが、怒る前に一呼吸置いて「昔の自分」を思い出してください。
単純なことかもしれませんが、怒る前に一呼吸置いて「昔の自分」を思い出してください。
非常に単純なことですが、
「昔の自分自身」を思い出す
というのは非常に効果的です。
自分自身が小学生(中学生)のときに、ちゃんとできていたのか思い出してみてください。
✅ こんなに勉強していたのか?
✅ 一回も悪い成績を取ったことがなかったのか?
✅ 成績が悪かったことで親に怒られるのは辛くなかったのか?
✅ やりたくて勉強していたのか?
この怒りをクールダウンさせる方法は、「我が子の成績が悪かった時」だけでなく、どんな場面でも使えると思います。
職場で部下が失敗した時やスポーツでチームメイトが失敗した時などです。
「昔は自分もそうだったな」って思えるようになると、怒りのボルテージは緩んできます。
実際は、怒りが込み上げてくる瞬間に、「昔の自分を思い出す」という作業はなかなか難しいです。
怒りの方が感情として先行してしまいますから、思い出す前に怒ってしまいます。
ですから、お子さんが宿題など勉強を一生懸命している時に、
そばでお子さんを見守りながら「昔の自分」を思い出してみてください。
「昔の自分よりだいぶ頑張ってるなぁ」って思えたら、怒りのシーンが不意にきた時に、怒りを抑えられる準備が整ったことになります。
もし、「自分は我が子より小さい時から頑張ってきたし、こんなに成績が悪くなかった。失敗もしなかった。」ということしか思い浮かばなかったなら、それは単純に記憶を喪失しているだけです。
あの将棋最強で天才の藤井聡太五冠ですら、勝っても負けても常に反省しています。
結果的にうまくいったことでも、その過程でよくなかったところを自分自身で見出し、受け止め、それを放置せずに改善していく姿勢は非常に学ぶべきところがあります。
ですから、自分自身がうまくいかなかったことを思い出せないというのは、自分自身で失敗やうまくいかなかったことを受け止めきれてない裏返しになるかもしれません。
必ず、自分自身もお子さんと同じような失敗をしているはずですから、思い出すようにしてください。その際にアルバムを見てもいいですし、自分が過去にしてきたことを見直すと思い出すための一助になります。
怒りのシーンは不意に訪れます。
塾のカバンを片付けていたら、くしゃくしゃになったひどい点数のテスト用紙がポロッとカバンから落ちてきます。
「なんてひどい点数なの…しかも、あの子、報告せずに隠してくしゃくしゃにしてる…」
というような感じで不意に訪れることもあります。
また、お子さん自身の自己採点では、
「結構、できたよ」
と言っておきながら、蓋を開けてみれば、ひどい点数ということもよくあると思います。
「結構できたよ」って聞かされていただけに、自己採点より遥かに低い点数ですと、絶望と怒りが込み上げてきます。
不意に訪れてくる怒りのシーンに対応すべく、ときどきは落ち着いた時に、お子さんが一生懸命宿題やテストをしている姿をみながら、「昔の自分」と比較してみるのをお勧めします。
「自分も悪いテストはゴミ箱に捨ててたな」
とか
「本当は全然できていないのに、親が怒ったら嫌なので、『結構できたよ』って嘘ついてたよな」
とか、自分も同じようなことをしてきたことが思い出され、一方的に怒るのは良くないと思えるようになるはずです。
「昔の自分自身」を思い出す
怒らずに建設的な方向に進める方法
では、どうやって怒らずに建設的な方向に進めることができるでしょうか?
怒りの気持ちはグッと抑えることができたとします。
では、次にどうすればよいか?
一緒に改善策を考えることが一番です。
具体的に改善策とは、
✅ 間違った問題を一緒になって考えてあげる。そばで見てあげるだけでもいい。
✅ 親自身もいつも点数が良かったわけではないと説明し、次は頑張ろうと前向きに話す。
✅ 次は間違えないように、間違えた問題の類似問題を探してあげる。
✅ 繰り返し同じような問題を間違えているのならば、勉強や復習の過程に何か問題があるはずなので、塾の講師に進め方にどこか間違いがないか具体的に相談する。
怒るという行為は、時に必要な行為であることもありますが、基本的に突き放すだけで進歩がありません。むしろ、マイナスにしか働かないことがあります。
怒るという行為は、一緒に改善するということの放棄を意味します。
怒るという行為は、「一緒になって改善する」ということを放棄する「怠慢の現れ」とも言えます。
やはり「一緒になって考える」という行動は、「怒る」という行動よりかなりパワーを使いますから、「怒る」ことで親自身もすべてを放棄したくなる気持ちは十分わかります。
ただ、怒ると次への行動が遅れますし、怒ることでさらに溝が広がり、いつの間にか修復不可能なところまで進展しかねません。
怒られる方からすれば、立場が弱い分、「怒られる=放棄された」と感じ、虚無感や絶望感を感じ、萎縮しさらにパフォーマンスが落ちかねません。
怒る気持ちをグッと抑えて、
「これ間違ったのか。じゃあ、一緒に考えよう。」
とか
「あぁ、これって前も似たようなやつ出てなかった?そばで見といてあげるからもう一度解いてみよう。」
とか
こんな感じで進めてみてはいかがでしょうか?
似たようなシーンはどんな状況でも起こりうる
仕事、チームスポーツなどなど、似たようなシーンはどこでもありますよね。
後輩が失敗をする
とか
チームメイトがミスを繰り返す
とか。
まぁ、怒っても場の雰囲気は最悪になるだけですし、怒ってる方が損をする可能性すら十分あります。
教えている自分にも教え方が悪いという可能性もありますし、一緒にミスの原因を考えることで実は自分にも落ち度があったことに気づくことがありますよね。
怒ってしまってから、実は自分にも落ち度があったことが判明した場合、非常に気まずいです。
ですから、
一旦は怒りを抑えて、「昔の自分」を思い出しながら一緒にミスの原因を考えていく
のがクレバーな方法かもしれません。
ただ、致命的なミスを繰り返す場合は、怒りたくなりますが怒るにしても公衆の面前では避けるべきです。
そして、やはり根気強く指導や改善方法を一緒に考えても、全く箸にも棒にもかからない人はいることは確かです。
その場合は、もはや他人ですので、放棄し距離を空けることしか改善策はないです。
そこに怒りのエネルギーを注ぐのは、時間も体力も精神力も無駄に終わります。
しかし、自分自身の子供は違います。
全く箸にも棒にもかからないと思うようなことがあっても、根気強く接する必要があります。
改善していくには、親の力しかありませんので。
過度な期待をしない
単純なことかもしれませんが、過度な期待は禁物です。
当たり前ですが、難しいことの一つで、
過度の期待をしない
というのは非常に有効です。
生まれてくるまでは、「五体満足であれば、それだけでいい」
生まれてからは、「勉強できなくても、健康ですくすくと育ってくれさえすればいい」
育ってくると、「中の中で十分です」
大きくなってくると、「もっと上を目指しなさい!!!」
というような感じで、人間の欲は際限なく、ハードルをどんどん上げていきます。
ここで、ちょっと考えてみてください。
「そもそも私自身の子供なんだよ」ということです。
自分ができなかったことを子供にリベンジさせるのは賢明ではありません。
お子さんは親のコピーロボットではないので、親の欲求を満たせるようにプログラムされてるわけではないのです。
お子さんに過度の期待を寄せすぎると、失敗した場合、さも親自身が否定されたような感覚になるかもしれません。
それが怒りのトリガーになってしまいます。
残念ながら、勉強の能力などは遺伝的な要素も絡んできます。
トンビが鷹を産むケースもときどきは見受けられますが、いろいろと客観視して理想と現実をしっかり見極めていくことも必要です。
客観視するには、塾の講師などに相談するとよいでしょう。
オブラートに包みながら、客観的な意見を述べてくれます。
また、過度な期待は、言わなくてもお子さんには十分に伝わっています。その期待感でテストで十分な力が発揮できないことさえあり得ます。
特によくないのは、過度の期待から出てしまう発言です。
どれだけお金かかってると思ってるの!
は、絶対に禁句です。
はっきり言って、中学受験はほぼ100%親の主導です。
子供からしたら、やりたくないのにやらされているので、お金かかってるかどうかは知ったことではありません。
ただ、お子さんによっては、真剣に受け止めてしまい、
「僕が悪い点数をとってしまうと、今までかかったお金が無駄になってしまう」
と思いつめ、テストで十分なパフォーマンスが出なくなります。
このテストは100万円の費用がかかっているとなると、ビビって問題の選択肢を選べなくなってしまいます。
人間は欲にまみれているので、知らず知らずのうちに過度の期待を抱きがちです。
何事も、求めすぎる、過度の期待をするというのは、破綻を招く考え方なので注意したいですね。
過度の期待は禁物。
客観視して理想と現実のギャップを知る。
過度の期待をしすぎなくなると、自然と怒りのボルテージも下がってきます。
また、お子さんの小さい時の写真を見直すこともお勧めします。
小さい時の写真を見ると、「小さい時からだいぶ成長したんだな」って思えます。
今しか見てないと、成長の過程を忘れがちです。
お子さんも小さい時から必死に生きて成長しています。アルバムはそれを思い出させてくれます。
成長の過程を思い出すために、アルバムを見てみましょう。
一時的に怒っても引きずらない
たとえ怒ってしまったとしても、ひきずらないことが大事です。
これも当たり前ですが、難しいことの一つで、
怒っても、すぐにその場で解決し後にひきずらない
ことが大事です。
やはりどうしても怒ってしまうシーンはあります。
そこでネチネチ引きずってはいけません。
怒ってしまっても、すぐにその場で解決しましょう。
「はい、おしまい! とりあえず、おやつにしよう。それから間違い直ししよう。」
とか
「よし、おっけ! 次は頑張ろうね。 でも、何度も出ている問題は復習して次は正解しようね」
とか
その場で解決してしまいましょう。
引きずると時間の無駄ですし、トラウマ的な感覚が残り、次のテストでも失敗してしまう可能性が高いです。
怒ってしまったとしてもひきずらない。
怒ってしまったとしてもひきずらない。
その場で解決して、次に進むことが大事。
まとめ
✅ 昔の自分を思い出す→怒る場面は突然やってくるので、あらかじめ、過去の自分ができていなかったことを思い出しておくとよい。
✅ 過度の期待をしない→過度に期待しすぎるとお互いに苦しくなる。客観的に理想と現実を把握しておく必要がある。
✅ 怒ってしまってもひきづらない→怒ってしまったとしても、すぐにその場で解決し、建設的に次に進めることが大事。
「言うは易し、行うは難し」で私自身、100%このように実践できているわけではないですが、このようにする気持ちがあるだけでもだいぶ変わってきます。
これは私個人の意見で、誰かを参考にしたわけではないので、反対意見などあると思います。
ただ、こんな意見もあるんだなというような位置づけで参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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