私立小学校はありか?なしか?

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ローテーションしてくる研修医向けに簡単な講義をしています。

教科書では学べない精神疾患のリアルを病院全体を俯瞰した概要と症例ベースで紹介することが多いです。

今回、ローテしてくれている研修医の先生たちにも同じように講義したのだけど、驚いたことがあったので書いてみます。

その症例検討で知的ボーダー(境界知能:IQ70−80)の話をさせてもらいました。

ぱぱりん

境界知能って響きが冷たいので、知的ボーダーというようにしています。これは僕自身の感性の問題ですが。

知的ボーダー、境界知能と呼ばれる層はIQが70〜80前後の層を指し、知的障害とは認定されないが日常生活に支障をきたしてしまう知的レベルの層です。

日常生活に支障をきたすとは、計算ができない、人の言っている意味がわからない、道筋を立てて備えることができない、、、など多種多様です。

具体的には、

・九九が覚えられない。

・文字は読めるが何を言っている意味はわからない。

・先を見据えた計画を立てたりできない。

・人の話の真意を理解できずに誤った解釈をして相手に迷惑をかけてしまう。

・地図が読めず初めての場所に行けない。

などです。

全く悪気がないのですが、一見すると普通の人に見えるので

「努力が足りない」

「サボっている」

「だらしない」

などと理解が得られず、精神的な不調をきたしたり、生きづらさを感じてしまいます。

本人にとっては、

「頑張ろうとしても、何を頑張ったらいいかわからないし、頑張っても習得できない」

のです。

結果として、

・周囲と衝突する

・鬱になる

・断れずに犯罪に巻き込まれる

といった不幸な転機を辿ることもあり得ます。

割合としては、全人口の14%が存在すると推定されています。

出典:『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち』(宮口幸治著/扶桑社)

これだけ存在するのですが、その存在があまり理解できていないような格差も生まれてきています。

今回はそんなエピソードです。

話を戻しますと、、、

症例で

「知的ボーダーで周囲から理解をされずに犯罪に巻き込まれたケース」

を取り上げました。

最近では

・闇バイト

などに巻き込まれて犯罪の片棒を担ってしまう人がいると思いますが、多くは知的ボーダーだと思われます。

他にも、

・暴走族や半グレの使いっ走り

・性産業

などにも少なからず存在しています。

暴走族や性産業に関わっていく過程では

「自分は必要とされていない」

という疎外感が働いているものと推定しています。

「何をやってもダメ」というレッテルを貼られ、自分自身の存在価値がないように感じてしまいます。

しかし、そのような中で、暴走族や性産業では「自分を必要としてくれる人がいる」と感じてしまいます。

多くは、いいように利用されているだけなのですが、本人は理解できていません。

結果として、犯罪に巻き込まれたり、自分を傷つけたり、鬱などの精神疾患を発症したりします。

そのような内容を研修医の先生たちに話そうとしていたのですが、、、

知的ボーダーの人って周囲の理解を得られず生きづらい(精神疾患を患い易い)と話を始めたのですが、ピンと来ていないようで、

小学校で一見普通に見えても九九が言えなかったり分数を理解できない子がいたよね?

って言っても、そこにいた研修医たちは

「できない子は周りにはいませんでした」

っていうから

「小学校は公立?」

って聞くと

「私立小でした。極端にできない子っていなかったのです」

って口を揃えていうので横転しました…

そうか、、、私立小学校に進学してしまうと知的水準はある程度担保されているから、知的ボーダーの子達に出会う機会がなかったのか!と。

永遠に交わらないパラレルワールドがここにも存在して唖然。

僕は、中学校から大学までずっと公立でしたので、さまざまな知的レベル、社会的背景、経済環境の人たちと一緒の教室で学んできたので、「教室の混沌」は当たり前だと思っていたのです。

思い返せば、僕が通っていた中学校はかなり混沌としており、他の学校との喧嘩、学校内でのタバコやバイクは日常茶飯事で、授業もしばしば中断され教科書の範囲を終わらず、教師も勉強よりも道徳を大事にするタイプが多く、とても勉強するという環境ではありませんでした。

その中で淡々と勉強をしていたのですが、学校内では不良とも比較的うまく付き合っていました。

その経験が活きているのか、悩ましい患者(モンスターペイシェント)とのトラブルはほぼありません。

必要な時にはしっかりと強い態度で臨むことで相手も怯みます。

そういう術を学べたのは非常に良かったと思います。

私立小学校から私立の中学校、高校と進むと、このような「教室の混沌」に触れることはないでしょう。

結果として、知的ボーダーの人たちと出会うことはなく成長することになります。

医者はそういうボーダーラインの人とも接する必要あるので、いろんな世界、階層を知る意味では私立小よりも公立小の方がいいんじゃないかなって余計なお節介だけど思いました。

もちろん、賛否両論あるのは承知です。

ちなみに研修医の先生たちは良い子でした。

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この記事を書いた人

⭐︎中規模病院で勤務医をしています。
⭐︎子供は男の子が3人いて、遊び、ふざけ、いたずらでカオスな毎日を送っています。
⭐︎子どもの中学受験を通じて、子育てや受験に関しての情報発信を行なっています。
⭐︎好きな教科:算数、理科、数学、物理、化学とゴリゴリな理系マッチョです。

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