今回は、最近話題沸騰のChatGPTをはじめとするAIツールをテーマにしてみます。
毎年、新しい研修医の先生が研修に来てくれます。
そして一緒に回診をしながら、将来どの科にいくなどたわいもない話をしたりもします。
ですが、
どの診療科を選択するか?
というのが、すでに大きな岐路になっています。
AIなど夢物語の時代、そう、私が研修医であった10数年前までは、自分が興味がある科ややりがいを感じる科に進めばよかったのです。
「AIが普及したら、自分が選択した科が不要になるのではないか?」
などと考える必要はありませんでした。
もちろん、ノー天気ではないので、AIが脅威になるかもしれないという話題はゼロではありませんでしたが、そこまで身近に感じることはありませんでした。
ところが、、、私自身、WebやAIの普及を脅威に感じるイベントが2015年にありました。
ヨーロッパで毎年行われる学会(=医者などが集まって行う会議)があり、参加すると最新の医学知識が得られます。
コロナ前は毎年大体3万人くらい参加していました。
わたしも自分の研究発表を携えて毎年参加していました。
いろんな会場があって、大きな会場ではメインとなる演題が発表されます。
そこで、WebやAIの普及により医療が激変するという内容の講演がありました。
その講演内容を箇条書きすると、
✅遠隔診療の普及→対面での診察は激減していく
✅診断はWebで完結される→医者は高速Wifiだけを提供すればいい
✅AIは毎日更新される医学情報すべてを吸収できる→人間は多くて1日論文1~2つのみ
ということを話していました。
会場は1000人くらいで満員、立ち見もでるほど。
聴いていてかなり衝撃的でした。
結果として、医者が対面で診察して診断するということは激減するようです。
毎日数多く論文(医学情報)が発行されるのですが、医者は読めても一日1~2本くらいです。
しかし、AIは毎日数多く出される論文をすべて読み解き吸収することができます。
それは単なる情報として蓄積されるのではなく、ディープラーニングといって、個々の情報が有機的に統合されて学習していくことになります。つまり、日々進化が止まらないのです。
人間はその時の調子や気分で能力や結果にブレが出ますが、AIは違います。
AIは常に一定の、それもかなり高いレベルの結果を出し続けるのです。
「もう勝てるわけない…」
とその当時思いました。
そして、現在、openAIとよばれる人工知能研究所から発表されたChatGPTが話題です。
Googleアカウントなどをつかって登録すればだれでも使用できます。
チャット形式で質問に答えてくれます。もちろん、日本語でも応対してくれます。
例えば、「勉強をやる気がない子をやる気にさせる方法は?」と質問すると下のように答えてくれます。
どれも、ごもっともという回答です。
「一緒に勉強する:家族全員で一緒に勉強する」というのは笑いました。
たしかに、一家全員で勉強する環境だと自然とやるようになるかもしれません。
さらに、「全部試してみましたが、効果がありませんでした。ほかに方法はありますか?」と質問すると、以下のように答えてくれました。
追い打ちの質問にも真摯に答えてくれます。かなり優秀ですよね。
今後の医学についても質問してみました。
「医療でAIが発達していくと、どのような専門科がAIにとってかわられますか?」と質問してみます。
やはり、AIにとってかわられる科は、
✅診断などをメインにする総合診療科
✅画像読影する放射線科
✅病理診断(癌などを見分ける)
✅皮膚科(皮膚科は見た目の診断が少なくない)
などなど…これらの科については5年後くらいにAIのほうが勝っていることになるでしょう。
手術をしない薬メインの科も危ないでしょう。
診断から処方箋までAIのほうがすぐれているようになることは容易に想像できます。
流れとしては、
患者が症状を入力
→症状から必要な検査を指示
→簡易検査キットで患者自身がセルフ検査
→結果をもとにAIが診断
→患者の状態から最適な治療法を提案
という感じです。
ココまでいくと、もう開業医の未来も明るくないですね…
そして、AIがそこまでできてしまうと、無駄な医療費が削減されていきます。
今の日本の医療は、私の体感で5割、いや7割くらいは不要な医療で成り立っている気がします。
✅無駄な風邪薬(抗菌薬も)など
✅無駄なビタミン剤、整腸剤など
✅余命をいくばくも延ばせない高額な抗がん剤
などの薬は大幅に処方されなくなるでしょう。
また、無駄な手術も減っていくことが考えられます。
✅あきらかな適応外に対する手術
✅改善の見込みがない患者への手術
も減っていくかもしれません。
AIが費用対効果、つまり病気や状態を客観的に判断して手術により改善する可能性、確率を算出しそれをもとに実行するかどうか決めることになりそうです。
最終的に、医者は「する」か「しないか」を決定するだけのお仕事になったりしかねません。
ChatGPTの出現により、「AIによる置換」は一層加速するでしょう。
医者もそうですし、窓口応対の仕事やコンサルタント業務なども人間からAIに置換されていくことが考えられます。
ですから、今後はAIが入り込めない領域に活路を見出していくしかなさそうです。
とくに子供の時代は…
単に受験勉強で成功するだけでは、将来的な成功を約束してくれません。
自分で未解決の問題を発見し、それに対して自ら答えを見つけ実行していく
AIは新規性には弱いので、そういう能力が今後はより一層必要になっていくかもしれません。
ただ、まだチャンスはあります。
多くの親はまだ気づいていません。
ほとんどの大人は、その脅威に気づいておらず目先の学歴にしかこだわっていません。
将来、何が要求される時代になるのか、支配される側になるのか支配する側になるのか、そういう分岐点にすでに立たされているのかもしれません。
受験勉強は、課題を与えるだけでよく解答があるので難しくない作業です。ただ、未解決の問題を見つけて自分で解決方法を考えていくスキルは小さいうちから習慣づけてないと難しいですね。
立派な学歴は得たものの不要な人材になってしまっては非常に残念です。
私自身も「親として何をすべきか」などといろいろと考えさせられるChatGPTでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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